今回はコラムのような形で、生ガキ(マガキ、イワガキ、シカメガキ、他)出荷向け浄化装置についてご紹介したいと思います。
当社では生ガキ出荷向けにも紫外線殺菌装置を多数販売しております。
目次
生ガキを浄化する仕組みとは?
一般的にカキは食あたりをしやすいと言われますが、原因は様々です。
養殖海域の問題として、ノロウイルス、貝毒が挙げられ、常在菌である腸炎ビブリオによるもの、他に食べる人間側がアレルギー反応を起こしている場合もあります。
菌・ウイルスに由来するものは、ビブリオによるものとノロウイルスによるものの2種類に分けられます。
今回ご紹介する浄化作業を行って予防ができるのは、前者のビブリオ菌由来の食あたりに限られます。
浄化システムでは、次亜塩素酸やオゾン発生装置、紫外線殺菌装置によって、このビブリオ菌を限りなくゼロに近い状態にした海水でカキを飼育します。
そして体内にいるビブリオ菌を吐き出させ、残存量を減らすことを目的としています。
意外と勘違いされやすいのですが、ノロウイルスに関しては浄化システムで完全に死滅させることができないため注意が必要です。
今回の記事では紫外線殺菌装置(UV)でのビブリオ菌の浄化をご紹介します。
UVの機器を選定する際には「確実にビブリオの殺菌ができる」という根拠を提示できるメーカー、製品を選ぶようにしましょう。
浄化作業を行ったら本当に無害なカキになるの?
まず前提として、各都道府県の水産部門の方では、海域ごとにノロウイルスや貝毒の発生状況を調査しています。
もし同じ海域でノロウイルスや貝毒が発生しているようであれば、生食での販売が制限されます。
今回ご紹介している浄化作業はあくまでビブリオ菌を対象としています。
当社の紫外線殺菌装置では、ビブリオ菌の殺菌・増殖阻害において99.99%以上の保証値があります。
とはいっても、実のところ、実際に人体に無害かどうかはカキ自体を調べないとわかりません。
出荷を行う地域の担当保健所に連絡をしてもらえれば、生ガキ出荷をするために必要な検査項目や行政ごとの出荷基準、検査ができる機関などを教えてもらえます。
つまり、出荷する状態のカキを検査し、問題がないカキだと証明されて初めて生ガキとしての販売ができるようになります。
写真は長崎県のHPで公開されているノロウイルスの海域検査の結果です。
各都道府県では養殖海域を分けて定期的にノロウイルスや貝毒の検査が行われています。
水槽やポンプのサイズはどれくらいのものを用意したらいいの?
以下、宮城県のHPに掲載されている資料を引用させていただきました。
具体的に水槽容量に対してのカキの収容個数や換水量(換水率)を明示している指針などはほとんどありません。
生食用殻付きかきを人工浄化する場合の基準(生かきの取扱いに関する指導指針より)
・かきと浄化用水の接触面積が大きくなるように工夫すること。
宮城県水産業基盤整備課養殖振興班-生かき生産管理における各作業工程の注意点
・原則として、かき、1,000個当たり毎分12㍑以上の換水又は循環水量を確保すること。
・浄化時間は、22時間以上行うこと。
こういった指針では、1個体が保有しているビブリオを概ね吐き出すのに必要な換水量を、研究結果を元に算出し、保証値を含めて基準として設定されていると推測されます。
こうした制度、指針は各県の方針によっても変わりますので、まずは県の水産加工課や管轄の保健所に相談してみると良いでしょう。
他に注意すべき点としては溶存酸素濃度が気になる所かと思います。
2倍体マガキの場合は、一般的に水温の低い時期に浄化~出荷を行うため、上記の1,000個あたり毎分12リットルの換水量(給水はDO飽和海水を想定)を確保していれば、まず酸欠になることは考えられにくいでしょう。
イワガキの場合は、平均して2年~4年の育成期間のため、出荷サイズにも大きなばらつきがあります。
また、イワガキや3倍体マガキの出荷シーズンは水温が高い時期も含まれますので、もし上記換水量だけを目安に、設備の整っていない水槽に大量に投入してしまうと、酸欠で斃死してしまうリスクがあるので注意が必要です。
他に用意するものは?
紫外線殺菌装置以外の用意としては下記のようなものが挙げられます。
・水槽
・ろ過器
・ホースや塩ビ配管類
・かご(かきを収容するためのもの)
・ポンプ(揚水用、循環用、熱交換用)
・クーラー、ヒーター(取水条件や長期収容の場合に限る)
・エアレーション用品
上記はあくまで一例ですので、環境や既存の設備、収容規模、収容期間に応じて細かく状況を把握し、リストアップしていくと良いでしょう。
生ガキ出荷用浄化装置についてはアイエスシーへ
以上を読んでいただけたらわかるように、浄化システムは正しい知識をもってすれば簡単に導入が可能です。
弊社では、お客様の設備や環境条件、出荷の計画をお伺いし、必要となるあらゆる資機材のご提案など、トータルでサポートさせていただきます。
ぜひ導入を検討されている場合には、お気軽にお声掛けくださいませ。